2005年12月アーカイブ

冬の海

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 四季を通じて水平線が最もくっきり見えるのは冬の海である。 寒気が入ると、海は群青色に光り、海と空がはっきりと区別できる。時おり白波が広がる。そんな日は、風のある寒さの強い一日が続く。海の色が薄くなって水平線がボワーッとにじんで見える日は、暖かく過ごしやすい。海は正直な生き物だ。
 毎日一度は屋上と2階にある望遠鏡で、水平線や海、パッチ網漁船を眺めて感動している人がいる。館長だ。クジラを探しているらしい。館長だけでなく、「海が見たい」とやってくる人もたくさんいる。
 以前、私は毎週のように大月町・柏島の海に通っていた。夏場は魚種も多く、サンゴの間を泳ぐ魚たちの姿を追うだけで楽しかった。しかし、夏の賑わいが去った冬の海は、水中に静けさが漂う。
外洋に臨むここでも、沿岸部にはサンゴも生息しているのだろう。高知の海では、サンゴや魚たちが豊かな世界をつくっている。
 群青色の海を眺めながら、眠っている魚たちを思う。そして、生き物たちを包み込みながら地球に広がる海を思う。海には、今だけでなく過去や未来とつながった時間が漂っている。
 夕暮れ時の帰り道、小高い丘から海側に下りてまっすぐ花海道を西に車を走らせる。海は黒く眠り始めているが、暗闇になる前の空のグラデーションは、心が吸いこまれるように美しい。きょう一日の時間が終わる。色合いを閉じようとする空のやさしさ。冴え冴えとした月と金星。忘れていた記憶が浮かび上がる瞬間だってある。
 1年を振り返った。いろんなことがあった。夕暮れを見ることのできない日が続いた。館でたくさんの人と出会った。龍馬とも近しくなった。
来年はもっとたくさんのことがあるだろう。よいお年を!

龍馬 苦笑い?

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当館には龍馬の蝋(ろう)人形がある。
この蝋人形は有名な立ち姿の龍馬の写真を元に作られており、背丈もほぼ等身大ということもあって、龍馬のイメージがつかみやすく、お客様もよく見ていかれる。
またこの蝋人形は撮影も可能なので、記念撮影していく方も数多い。
先日のこと、ある親子に蝋人形との記念撮影を頼まれた。
お父さんと1歳半の娘さんだった。私はカメラを受け取り、撮影の体勢をとった。お父さんは娘さんを抱っこして、蝋人形に近づいていく。
すると、娘さんが泣き出してお父さんの胸に顔をうずめる。
これではシャッターは押せない。お父さんが蝋人形から少し離れて娘さんをなだめる。
落ち着いたところでもう一度チャレンジ!やっぱり近づくとだめだ。何度か試みたが結局、娘さんの顔は写らない状態での撮影となった。
全国に熱烈なファンのいる龍馬も、1歳半の女の子にとってはただの怖いおじさんなのだ。
「わしゃあ、こわいおじさんじゃないきに・・・」
龍馬の苦笑いする顔がうかんだ。

流木の詩

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道具はノミではなくチェーンソーである。
それを「使って」ではなく「操つる」。
操って木材で作品を制作する。
題して“チェーンソー木彫り”。
山本祐市さんの本業は浦戸の漁師さんだが、時に作家となる。
先のコンクールで山本さんは全国二位の実蹟を残している。
先日お会いした際、作品に興味があるお話をしたら、10日もせぬうちに作品が届いた。
山本さんご自身が、軽四輪の後ろに積んで運んで来てくれた。
「作ってみたきに、どこか館に置いてみて」
照れくさそうに抱えてこられた。
 これが不思議な作品なのだ。もちろんテーマは龍馬。胸像で、頭髪は後ろになびかせている。その背後になんと魚が跳ねあがっている。さらによくよく見れば、ちょんまげの元結より先は、鯨のしっぽに作ってある。
「わしのイメージにある、一つの龍馬の姿じゃ。この木は、浜に流れ着いた流木での、根っこのところが大きゅうて、ひき切って家に持ってきて、作ったがよ」。
流木と聞いて、もう一段想像力がかきたてられた。
流木の龍馬も面白いし、魚との繋がりも奇想天外。
くじらのしっぽのちょんまげなど、誰も思い付くまい。
ひとまず、ビデオコーナーの棚の上に置いた。
人相で見る限り中年の龍馬さん。口をへの字に結んで、無念無想である。
龍馬は思う人によってそれぞれである。その人だけのものになる。
それが人気の秘密でもある。
ちょっと、警備のSさんに横顔が似ている。

右手の理由(わけ)

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記念館の模様替えが行われて1ヶ月が過ぎた。現在の販売コーナーの真ん前には、ほぼ等身大のろう人形の坂本龍馬がいる。というわけで、販売担当の日は一日中龍馬と向かい合うことになる。龍馬にみつめられている気がして少し照れたり、にらまれている気がして怖くなったり・・・・・・、どこか遠くを見ている気がしてその視線の先を追ってみたりもする。

龍馬の立ち姿の写真をもとにつくられたこのろう人形、もちろん右手は懐(ふところ)に入れられている。龍馬に関心のある方も、そうでない方も、この“右手の理由(わけ)”には興味をもたれるようで、記念館で一番多く受ける質問が「龍馬は何で右手を懐に入れているんですか?」なのだ。私はいつも「いくつか説があって、ピストルをもっているとか、“万国公法”という国際法の本を持っているとか、寺田屋で幕府の役人に襲われたときに負った傷を隠しているという説がありますが、本当のところは龍馬に聞いてみないと分からないんですよ」と答えるのだが、ここ販売コーナーには、お客様の会話の中から、さまざまな“右手の理由”が聞こえてくる。

ある若いバスガイドさんは「当時はこのポーズが流行ってたんですよ!」とツアー参加者に説明し、50代くらいの男性は「ふんどしのひもが切れたから押さえてたらしいんだよ」と奥さんに力説。「胃腸が弱くておなかが痛かったんじゃないか」と言う人や、「寒かったのかなぁ」という人もいる。小学生の子ども達にたずねてみると「お弁当を持っちゅうがよっ!」という答えが返ってきた。

どれも違っているかもしれないし、どれかが当たっているかもしれない。
もしかしたら何も入っていないのかもしれない・・・。

夢の中ででも、龍馬に会えたら聞いてみたい。
「龍馬さん、ホントは何が入っちゅうが??」

不思議なコンサート

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 12月のある夜、坂本龍馬記念館が閉館後の2時間、コンサートホールになった。シンセサイザー奏者の,西村直記さんが、メロデイで龍馬を語った。
西村さんのCDに「坂本龍馬FOREVER」がある。
「革命」「龍馬誕生」「友との出会い」「脱藩の道」「龍、天(そら)へ」・・。
龍馬の人生をなぞる。
会場は地下1階の普段はビデオ、図書閲覧コーナー。少ない椅子席から外れたお客さんは、座布団を敷いた階段にすわっていただいた。
 演奏を終えた西村さんは額に汗を浮かべていた。表情は明るかった。
「いいですね。この舞台、雰囲気最高でした。なんといってもそばに龍馬直筆の手紙なんかがあるのですから」。
演奏冥利に尽きるとも言った。「龍馬の横で演奏しているのですよ」。実際、龍馬に演奏を聞いてもらっている感じで弾いたのだそうだ。
 ただその感覚がこちらにうまく伝わらない。“なぜ分らんのか”ともどかしげであった。
“分らん”と言えば、西村さん制作の龍馬のCDに収められている曲が、私にとっては、予想外の内容だった。曲のテンポが全てゆっくりしているのだ。「革命」「脱藩の道」など当然速いテンポの激しい曲を想像していた。そのことを西村さんに聞くと「そうなんですよね。自分も思います。しかし、龍馬のことを思えば思うほど、ゆったりした曲になるんですよね、これが・・」。
妙に説得力があって納得してしまった。
 龍馬のオーラがなせる技なのかも知れない。
だからその夜の演奏会も同じだろうと一人決めていた。ところがそれが違った。眠くないのである。逆に目を覚まされた。スローテンポが、激しく怒涛のように迫ってきた。
 西村さんの演奏テクニック?会場のせい?龍馬の手紙?
その全てがうまく混ざり合った?。ともかく楽しく不思議なコンサートでした。

出会いと楽しい対話

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 だれもが、心のよりどころを求めているのです。
坂本龍馬記念館に多くの人がやって来るのもそうした世相が原因だと思います。
そして若者の多いこと。
駐車場で車の整理をしていると、そんな若者たちと話す機会が少なくありません。
「おじさん、龍馬おるかえ?」若者に声をかけられました。
私は「中におるぞえ」と答えました。
その横から、別の少年が「はい!」と答えたのです。少年の名が本当に「龍馬」だったのです。
若者と私と少年と大笑いになりました。
また、若者たちは質問好きです。
「龍馬の身長は?乙女の体重は?」この程度なら私も答えられます。しかし「龍馬がどうやって世直ししたの?」など聞かれると、すぐ学芸員さんにバトンタッチである。
約1時間後、出口スロープを降りて来る若者の顔は、紅くほてっている。目は輝いている。
龍馬になったかのように大きな声である。「おじさん、ありがとう。また会おう。」などと言われると、うれしくなる。
来館された若者の中から龍馬の様な人材が出るのを期待しつつ、さよならと手を挙げる。

空と海と

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2005年12月3日。天気は快晴。ひとりの男性のお客様がやって来た。
「いくらですか?」
入館料は400円。「安いですよねぇ。ここの屋上から見える景色だけでもそれ以上の価値がありますよ!!」 
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この日、記念館の屋上から見えた景色がこちら。   
太陽の光を浴びた海がきらきらと輝いている。海の上を吹く風にのって ひゅ~~~ぅっと飛ぶ鳥たちを見ていると、そこに風の流れがあることがわかる。

2005年12月4日。朝から降っていた雨がようやくあがった午前10時30分。
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上の空は晴れているのに、その下にはまだ大きな雲が残っていて、その雲の間から海に金色の光がさしている。その光も空の動きとともに姿を変え、次の瞬間には違う景色になっている。

前館長の小椋さんが“大きすぎて展示室には入らない展示物”と呼び、大好きだった景色。龍馬もみた景色。私もこの景色が大好き。一日の仕事を終えて帰るとき、警備のおじさんがこう言う。
「この景色見たら銭(ぜに)※はいらんぜよっ!!」  ※今日のお給料のこと

景色の展示は毎日、時間ごとに展示替えをおこなっています。どうぞご覧ください。

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