2006年6月アーカイブ

夏の企画展始まる

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 机の上に物騒な写真が並んでいる。
短刀、ピストル、なにやら鎖で巻いた四角いケース。脇に龍馬、半平太、以蔵・・幕末を演出した男たちの顔写真が散らばっている。
 私の机上はまさに“幕末”である。
 短刀は、武市半平太が自刃した際に使ったものとして伝わっている。切腹の様子は文書に残されている。書き物だが、読むと想像を絶する迫力で迫ってくる。武士、侍、男の散り際の壮絶さである。
 ピストルは以蔵のものと伝えられる。フランス製。当時幕府の高官はフランス製を所持していたというのが定説である。だとすると、以蔵は護衛に付いた勝海舟からピストルを譲られたものではないか?空想は広がっていく。
 で、鎖で巻いたケースは?
これが歴史民俗資料館から借りる半平太自刃の短刀が納められる、特殊陳列ケースである。しかも、県立美術館からのこれも借り物。盗難予防のための鎖ということになる。ほかにも、寄託をうけた半平太の獄中書簡、直筆の展示も予定している。
 7、8月は夏休みシーズン。お盆も絡んで一年で入館者が最も多い時期でもある。
 短刀、ピストル、書簡類。歴史の重みと不思議、人生のロマンさえ感じさせはしないか。
最後に龍馬の眺めた海を見る。打ち寄せる波とともに迫り来る何かを感じることが出来ると思う。内容豊かな企画展になるはずである。
 存分に楽しんでほしい。

運命を信じる

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私はこの世には”運命”というものがあると信じている。

私がこの坂本龍馬記念館に勤めることになったのは1回のジャンケンがきっかけでした。
大学3回生の夏、企業実習をすることになり、希望の実習先の定員が決まっていたため、希望者全員でジャンケンをすることに・・・。
このジャンケンで勝ったのが、最初のさいしょの”運命”。

希望の実習先での実習初日は高知市の観光施設の見学。
「ここは県立ながやけど・・・」と連れてきてもらったのが、ここ坂本龍馬記念館だった。
私の家から記念館までは車で5分。けれど、こんなに近くに坂本龍馬の記念館があるなんて全然知らなかった!!
これが2度目の”運命”。

大学4回生になって、学芸員の資格取得のため博物館で実習をすることになった。
希望の実習先はもちろん、前年の夏、運命的に出会った「高知県立坂本龍馬記念館」。
実は、初めに実習の受入れのお願いをしたときにはあまりいい返事はもらえなかったのだけど・・・、
これも運命が味方をしてくれたのか、その夏、ここ坂本龍馬記念館で実習をさせていただいた。
これが3度目の”運命”。

龍馬記念館での実習は本当に勉強になり、本当に楽しくて、私は実習の最終日、大泣きに泣いて、
お世話になったみなさんにお礼の言葉を言うことができなかったほど・・・。
もともと博物館を見るのが大好きで、夢中になるとごはんも食べずに丸1日見ることも。
夏は涼しくて、冬はあったかい、時が経つのも忘れ、外の世界のことを忘れてしまう、博物館という「空間」が好きだった。
だから何でもいい、博物館に関わる仕事をしたいと思っていた。
しかし、実習をしてみて分かったことが、学芸員もそれ以外の仕事にしても博物館に関わる仕事に就くのは本当に狭き門だということだった・・・。

―ところが、龍馬記念館での実習を終えて3日後、「もっと龍馬のことを知りたいな」と思って記念館のHPを見てみると「職員採用試験の案内」という文字が目に入った。
すぐには信じられなかったけれど、よく読んでみると、やっぱり間違いなく新たに採用する職員の採用試験の案内だった。
記念館のHPを見たのはそれが初めてだった。
これが4度目の”運命”。

しかし、そのとき私は大学の4回生で、新職員の勤務開始日は9月1日から。
もう卒業に必要な単位は取っていたし卒論もほとんど出来上がっていたので、自分としては問題はなかったけれど、
学生にも受験資格はあるのかとか色々悩んで・・・、悩んだ挙句、何も知らないフリをして受験申し込みをしたのだった。
するとちゃんと受験票が届き試験を受けることに。
試験は面接と小論文で、どちらも自信はなかったけれど、ここでも運命が味方をしてくれて、今ここで働いている。

記念館に入ってからは龍馬の結んでくれた縁でたくさんの人たちと知り合うことができた。
みなさんとの出会いがあって今の私があると、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
やっぱりこれも運命のおかげかな☆

 「龍馬記念館の夏の企画展、“それぞれの幕末“見せてもらいに行くつもりじゃ」。しばらく連絡のなかった友人のUさんと電話でこんな話になった。
 「どうぞ、どうぞ、しかし何でまた、幕末モノに興味あるの?」
 快活な彼の口調に誘われて聞くと
 「まあな。実は家に武市半平太の獄中書簡の一部があって、よく親父がホンモノだと話していた。親父も亡くなったし家もマンション暮らし、できればそちらで預かってもらおうかと思ってな・・・・」
 「なに、なに!早速見せてほしい」。
 とまあ、こんな簡単ないきさつで、半平太の獄中書簡三通が、今、館の収蔵庫で休んでいる。この三通は個人所有で、知る人ぞ知る的存在で、だから、いずれも未公開である。それだけに、ホンモノに出会える興奮は、野次馬的だといわれても納まらぬ。中でも一通は、半平太の土佐勤王党領袖としての信念を妻、富子と姉、奈美に書いたものだ(元治元年一月=1864年)。武市半平太の研究者なら一度は目を通したくなる書簡という。出所の言われも興味深い。自刃した半平太が介錯を頼んだ小笠原保馬家と思われる。U家は保馬家の縁者に当たる。
 おまけといえばなんだが、三通目は獄中からのものではない。ただ、どこの文献にも記述された形跡がないので新発見に当たる。内容はごく日常的な話題がテーマである。
 いずれにしても三通は、7、8月の企画展には展示させていただく。
 寄託されたUさんの“広く皆さんに見ていただきたい”との意思に沿ってじっくり見てほしいと思っている。どの場所に、どんな方法で?学芸員と相談しながら考えている。
 それぞれの幕末「龍馬、半平太、そして以蔵」展は、半平太自刃の短刀、岡田以蔵の拳銃、そして、今回寄託された半平太の獄中書簡が目玉展示となる。
 龍馬記念館が、この夏暑く、熱くなる。

心で聴く声

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 高知も先週梅雨入りをした。ジメジメとした天気がこれから1ヶ月ほど続くかと思うと気分も多少重くなる。けれども今年は少し様子が違う。4年に1度のサッカー・ワールドカップが時期を同じくして開催された。連日のようにメディアでも報道され、多くの人々が日本の勝利に期待を寄せている。この勢いと興奮の中にいれば、いつの間にか梅雨も終わりそうである。
 さて、当館でも6月はイベントが2つ催される。
 1つは、海の見えるギャラリーにてボーカルkasumi(秋山香純)の個展『うたから生まれた作品たち展』の開催に伴い特別イベント“MONOTYPE スペシャル LIVE”(6月17日[土]開演17:30)。
 もう1つは“女優・日色ともゑ『龍馬の手紙』を読む!!夕べ”である。
 演劇制作体地人会の公演で、何度も公演を重ねている『この子たちの夏』という舞台がある。演出家・木村光一が構成・演出し、6人の女優が被爆した親子の手記を読む朗読劇である。東京、各地を巡演しているので観劇された方もいるのではないだろうか。舞台は実にシンプルであり、時折バックのスクリーンに顔写真と書面が映し出される。その前に立つ麦藁帽子をかぶった女優たちの何層もの声が心に染み渡る。私も色々な舞台を見て来たが、観劇中にこれほど涙を流した舞台もそうは無い。
 劇団民藝の役者である日色ともゑさんも『この子たちの夏』に出演されていた。良く通る澄んだ声で、真実の悲しさを真っ直ぐに伝えていた姿が印象的だった。
 6月24日(土)開演18:00、日色ともゑさん朗読による『龍馬の手紙』の声の世界を、是非味わってみてはいかがでしょう!?

 「反骨の農民画家 坂本直行展」のポスター、チラシ、チケットができた。ポスター、チラシの上半分には直行さんの描いた日高の山並み大きく刷り込まれている。今はさわやかな初夏の日高山脈だが、しばらくすると晩秋の紅葉した柏林の向こうにある日高山脈になる。これらのポスター、チラシは直行さんという人のことを、県下をはじめ日本各地に広めていくだろう。いろいろな街角で直行さんの絵が語り始める。

 先日、高知県教育長の大崎博澄さんを訪ねた。私が敬愛する人生の先輩である。山畑を耕し、自然を愛するナチュラリストだ。そんな大崎さんを慕う人たちが素朴な草木を持ち込み、教育長室はさながらジャングルの趣になっている。
 直行の話をしていたら、大崎さんは瞬間沈黙した。
 「今の話を聞いて思い出したことがあります。昭和40年代に児童詩を集めた『サイロ』という詩誌があって、ボクはそれを北海道から送ってもらっていました。それに挿絵を描いていたのが確か坂本さんという人だったと思います」
 「『サイロ』は六花亭が昭和35年から毎月出しているもので、その坂本さんが坂本直行なんです」
 「六花亭?いやそんな名前じゃなかったですよ。私はそこの小田豊四郎社長に手紙を書いて、丁寧な手紙ももらいました」
 「六花亭はその当時、帯広千秋庵といっていました。小田社長は会長になり、今は息子の豊さんが社長になっています」
 「そうですか。それはなつかしい。秋が楽しみですね。きっと見に行きます」
 生前の直行さんとつながっている人がこんな身近にいた。
 大崎さん自身、児童詩誌「めだま」を長くガリ版出版していた詩人である。静かではあるが、この人もまた筋金入りの反骨だ。教育長室には今、直行のポスターが貼られている。

 5日の北海道新聞では、当館の「坂本直行展」が紹介された。龍馬と直行によって、高知と北海道が身近になってきた。http://www.hokkaido-np.co.jp/

 “海の見える・ぎゃらりい”6月の展示は秋山香純さんにお願いした。
見事、海をバックに、夢のある空間が出現した。
色彩的にも、言葉的にも。
 面白いのは17枚の絵に、それぞれキャプションの詩が付いていることだ。
絵と詩が奏でる世界は妙に切ない。
傷心の旅路をさまよう、あなたと私である。
「だれもがひとりぼっち・」「会いたいよ・・」「暗闇が怖い・・・」「一緒に暮らそう・・・・」
暗くなりそうな言葉の行列なんだが、絵を見ていると反対にさっぱり感がある。
もしかすると、そのアンバランスが生み出す調和が、秋山さんの狙いなのかも知れぬ。
 波音が聞こえ、窓の外を見る。
波間にはタンカーがゆったり腰をすえている。
水平線はわずかにぼやけている。
空気は澄んで陽光は白いのに、海は重たい。
 梅雨入りである。
 6月17日(土)の夜、秋山さんは今度は詩を歌う。
 友人の山崎あずみさんとのバンド「モノタイプ」のライブである。
 ボーカル秋山、ギター山崎。
 梅雨を忘れさせてくれそうである。
 秋山さんの絵と詩と歌を楽しみに来てほしいと思う。

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