2006年12月アーカイブ

新しき年へ

user-pic
0

「坂本直行展」。始まったと思ったらもう一ヶ月を超えている。
どうこう言っても4ヶ月半の長丁場だとのんきに構えていたが、このペースだと、とてもとても息を抜く暇などありそうにない。
 第一、館は今年、年中無休を宣言した。つまり大晦日も、元旦もない。
 特に元日は、午前7時30分開館である。初日の出に合わせて桂浜は人出でにぎわう。午前4時になると桂浜周辺の道路は車で埋まりびくとも動かない。館のお隣り国民宿舎「桂浜荘」は年末年始に空き部屋はない。そんなお客さんが言う。「お正月、どこか行くところがないかね?」。これに応えなくてはお隣りとしての分が立たぬというものであろう。龍馬記念館開館以来初めての元日オープンとなったわけだ。

 お正月を前に先日、一部展示の入れ替えを行った。一度つつきだすと、あれもこれもになって、結局作業は深夜までかかった。翌日改めて見て、正直“よかった”と我ながら納得した。ぐっと館全体が引き締まった感じがするのだ。以前が良くなかったと言うのではなく、良かったものがさらに良くなったと思ってほしい。
 展示物の一つ一つが磨かれた茶碗のようにぴかぴか光って見えた。館の入り口には大きな門松が、日高山脈(壁画)を従えて寒風に背筋を伸ばしている。内部の企画展スタート地点にはお正月用の松がすっくと生けられた。

 今日の桂浜は、冬の陽でまぶしい。
 北山には雪。
 水平線はブルーの帯、一直線。
 風は冷たし。ほてった頬には心地よしである。

 皆様、良いお年を!そして2007年もよろしくお願いします。 坂本龍馬記念館

あと一週間

user-pic
0

 障子を開けると朝湯気の窓に水滴が筋になって走り下りていた。
 冷気が滑り込んできた。
 外はまだ暗い。
 遠くで救急車だろうサイレンが聞こえ、耳を澄ますとふっと音は消えた。
 “病院に着いたんだ”ひとり合点して出勤の支度である。40分後には家を出る。今年繰り返されてきた日常の始まり。
 ただ、このところ家の門を出るたびに、胸にある緊張感が膨らんでいるように感じられる。原因は分かっている。頭から離れない館で開催中の「坂本直行展」のせいだ。始まって一ヶ月を過ぎた。地元入館者も増えている。まずまずの前半だが、いまひとつ物足りないと思うのは、これはもう性分かも知れぬと苦笑いでごまかすしかない・・・・・。
 まるでそんなマイナス指向の気持ちを察したかのように、先日、一鉢の生け花が直行展入り口に登場した。それは、直行、龍馬の顔が並ぶその下の空間を占領した、というより雰囲気に溶け込んだと言ったほうが当たっている。「騒ぐでない」と背筋伸ばした“武士”の存在感である。
 制作は、「草木花塾」を主宰する郷田八代さん。一枚のガラス板とガラスの花瓶、それは自家製だろうガラスをちりばめたような敷物。枯れて色ずいた野草。緑色は苔。それが素材の全て。「苔だけに水をかけてください。生き返ります。霧吹きでいいですよ」。「テーマは?キャプションつけてくれませんか」と聞くと「お好きなようにどうぞ」。にっこり笑って、あっさりお帰りになった。
 後で、館の学芸主任が「直行さんと六花亭にちなんで“六花”はどうでしょう。雪のイメージにもつながるし」で、
 「六花=りっか」とした。
 不思議な感覚にじっと見入る方もおられる。今年もあと一週間になった。

元旦、開館

user-pic
0

12月に入って、さすがに入館者が少なくなった。
「龍馬の見た海」も、しんと静まり、陽光だけが明るく海面に反射している。
水平線はくっきりと、濃紺の帯。荘厳でさえある。
 ゆっくり、館内を回ると、時に新しい発見に遭遇する。現在、直行さんのどの絵が、どの位置に架かっているか、目をつぶると73枚のあり場所をイメージできる。朝に晩に眺めているから当然だが、絵も見る時折に表情を変えているように感じる。描かれた北海道の山々が、しゃべりかけてくるような錯覚に捕らわれることもあるし、広大な十勝平原が、海に見えたり、砂漠を想像させたりもする。ほとんどが山ばかりの絵の中に、時に人間の営み光景が描かれたりすると、頭の中には物語が回り始める。
 皆さん、楽しんでおられるのは、それぞれの受け取り方で、絵が答えてくれるからだと思う。まさしく「龍馬」と同じだ。歴史書を抱えながら「龍馬いいですねえ」という方もいれば、「細かいことは知らん。とにかくええ」という方もおられる。共に龍馬を語る時は照れたような笑顔になるのは共通している。
 そんな龍馬ファンに応えて、今年、館は元旦開館を決めた。お隣の国民宿舎「桂浜荘」で年越しをするお客さんは、「初日の出」と「龍馬」目当てである。以前から、「1月1日開けてほしい」といった声が高かった。それに今年は特別企画の「坂本直行」展を開催中である。是非観てもらいたい館の思いもあって“元旦開館”を決めた。
 元日の日の出時間は、7時6分。桂浜の花街道は車で埋まるはずである。日が昇って30分ほどは車も動けないだろう。そこで開館時間を「7時30分」にした。午前3時には出勤して備えるつもり。心より入館をお待ちしております。

 先日、東京国税局が納税滞納者から差し押さえた品物のオークションを開いたそうである。その一つに、アリゾナ州で見つかった隕石が出品されていた。オークション価格のスタートは50万円からで落札価格が170万円。170万円も出して隕石を買う人もいるのねと思いながらニュースを見ていたら、何と落札したのは奄美大島の博物館の館長さん。その理由は「入館者を増やすための目玉にしたい。」という話だった。どこの博物館も、一人でも多くの方に足を運んで頂くことを切に願って色々な努力をされているのだと思った。

 さて、当記念館でも11月11日より「坂本直行展」が始まり1ヶ月が過ぎた。出来るだけ多くの方に、また龍馬の違った新たな側面をご堪能頂ければと言う思いで幕を開けた直行展であるが、様々な反響を頂き大変ありがたく感じている。

 直行さんの絵を見ているとその青色の使い方に目を惹かれる。インディゴ、コバルトブルー、ウルトラマリン等と多彩な青色の微妙な重なり合いが、底知れぬモチーフの存在感を表現している。
 私の好きな油彩の一枚に“ウブシノッタ沢とオホーツク海”という作品がある。沢の向こうに見える空と海の青色を眺めていると、まるで五感が響きあうようにその色の深さは静かに感性へと語りかけて来る。

 2007年1月1日から坂本龍馬記念館は開館します。元旦は、新年の日の出を脳裡に焼きつけ、当記念館まで足を伸ばされてみてはいかがでしょうか? 龍馬も眺めた高知の景勝と直行さんが描いた日高の絶景を是非ご自分の目でご覧になってみて下さい。

京大所蔵の龍馬書簡

user-pic
0

 現在、直行展に合わせて、京都大学付属図書館からお借りした長府藩士・印藤聿(いんとうのぶる)宛ての龍馬直筆書簡を展示している。この資料は、高知県内では初めての展示である。慶応3(1867)年3月6日に書かれたこの書簡には、「蝦夷に新国を開くことは積年の思い、一生の思い出で、一人になってもやり遂げるつもりだ」と熱い思いが綴られている。
 龍馬の蝦夷開拓には様々な思惑が含まれていた。まず一つには、京都に溢れている浪人に働く場を提供すること。このことは、京都の治安維持にも繋がる。龍馬が連れて行こうとしていた浪人について、勝海舟は日記に「過激輩」と書いている。幕府方が新選組や見廻り組を使って「過激輩」を力で制圧しようと考える中で、龍馬は誰も殺さず、お互いの利益になることを考えていた。そして、蝦夷の開拓は、諸外国から狙われている日本を守ることにも繋がり、国家のためにもなる。さらに、蝦夷には色々な産物があるので、それらを大都市で売れば儲けることもできる。まさに一石四丁の龍馬らしい案だった。
 これに対して直行の北海道開拓は方向性が違う。直行は純粋に北海道日高の自然に魅せられたのだ。大好きな百姓仕事をしながら書きためた絵には、直行の自然に対する温かい眼差しが感じられる。開拓の大敵である柏の木に対してさえも、ヒコバエ(切り株から生える芽)の美しさに心奪われる。開拓を行いながらも自然を愛し、敬意を払い、自然の保護を考える人であった。
 龍馬は印藤宛ての書簡に、「万物の時を得るをよろこび」という言葉を書いている。すべての物が時を得て喜び合えるような開拓をしたい、という意味だが、この考え方は直行にも相通じる。龍馬も直行も自分の利益だけを考えるような人ではなかった。開拓の狙いは違う二人だが、開拓に対する姿勢は不思議と似ている二人だ。
 それにしても、龍馬はよく風邪をひく人だ。この書簡も病床で書いているようだ。それに対して直行は頑強な体だった。この点は龍馬と違う。

絵を描く

user-pic
0

 11月11日から始まった『反骨の農民画家 坂本直行展』。
 龍馬のファン層はとても幅が広く、これまでも老若男女問わずたくさんの方に来ていただいていましたが、この直行展が始まってからは、これまではあまり見られなかった40代、50代の女性のグループが増えたように感じます。
 みなさん“坂本直行展”と”六花亭のお菓子”を目当てに来てくださっているようです(^‐^)♪♪

 その直行展の準備をしているときに、一枚の絵が目に入った。
 大地の茶、山の緑、空の青、そこへ桃色の空。淡い色は無く、すべてがはっきりとした色で力強くキャンバスにのせられているその絵に、一瞬すごく不思議な感じを覚えたが、ふと、あるテレビ番組で鉄道の旅をする俳優さんの言葉を思い出した。

 「目の前の景色に感動して夢中でシャッターをきっても、実際に自分が見た景色は写真には残せない。」

 そう言って彼は、手に持った色鉛筆でスケッチブックに目の前の夕焼け空を写し描いていた。
 自分の心に何か訴えかけてくる景色を見ながらスケッチして残す。
 写真より、ずっと人の心に響くと思う。
 きっと、直行さんは北の大地で、この絵の色と同じ、カラフルな景色を見たのだろう。

月別 アーカイブ

OpenID対応しています OpenIDについて

このアーカイブについて

このページには、2006年12月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2006年11月です。

次のアーカイブは2007年1月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。