開館前の誰もいない展示室。企画展コーナーに入ってすぐ左にある、腰の高さの小振りな展示ケースの前で足を止める。
中に納まっているのは龍馬直筆の本物の手紙。ガラスに顔を近づけ、しゃがんでみる。手紙との間隔はわずか。龍馬はこの紙をこれくらい近づけて書き、手にして紙面を見つめたのかもしれない。濃く、薄く、かすれ、また濃く、薄く、かすれ…。のびのびと踊るような筆遣いの文字が、言葉が、心の声が直に語りかけてくるような不思議な感覚。
書き留められているのは龍馬の生きた時間の中の一瞬。気持ちのまま一気に筆を走らせた手紙そのものをこんな間近で目にしているなんて…。
宛名は「乙様」。遠く離れた大事な弟の手紙を乙女姉さんは何よりうれしく読んだのだろう。全く関係のない他人ながら読ませてもらった私まで、包み込まれるような温かな気持ちになれる。
142年の時を経て、今彼の手紙はすべて、読む人皆に宛てられた龍馬からの励ましの手紙になったのかもしれない。共感し、笑顔になり、涙がこぼれ、元気をもらい、勇気づけられ…。どれだけ時が経とうと、人の思いは色褪せないものなのだ。
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龍馬からの手紙
投稿者:床 2009年2月12日 17:53
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