もう師走も半ばになり、今年もあとわずか。
受付に座るとちょうど目の高さに見える歩道の上、降りそそぐように落ちゆく木の葉が風に舞う乾いた音。
その先の遊歩道にびっしりと落ちていたシイの実も今はまばら。
勤務時間前に早く来てたくさん拾ったシイの実を、家で水にくぐらせて干してきたからと、いつも明るくまじめな警備員さんKちゃんが分けてくれたのはほんのこの前だったような…。彼女の心遣いをうれしく思いながら、大喜びの娘とフライパンで煎ったシイの実はなんとも香ばしい秋の味だった。
短かった秋…。
寒い朝、「はや正月が来るぞ。…いよいよ(土佐弁:本当に)早い。」としみじみつぶやく館長。
思えば歳を重ねるごとに、月日は加速度を上げて飛ぶように過ぎていく。
展示室の龍馬の写真を目にすれば、彼の33年の生涯もまるで駆け抜けるようであったろうと思いを馳せずにはいられない。
その短い33年間、命を賭けても成し遂げたい熱い思い、心揺さぶられるできごと、すばらしい人々との出会いと交流…、あんなにも多くの手紙に書き残せるほど人に伝えたいことがあった龍馬の人生は、本当に豊かなものだったのだと思える。
信念を持って何かを成す達成感は容易に得られるものではない。
それでも様々なものを自分なりに感じながら、
心豊かに生きていきたい。
美しいものを目にする感動、人の温かな心、大切な人達とのつながり、その中で何気なく交わす会話、笑顔、さりげない優しさ、思いやり…。
足早に過ぎ行く日々だからこそほんのひとときの小さな幸福感も大事にしたい。
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龍馬記念館には老若男女問わず、毎日たくさんの方が来館される。
全国、はたまた海外からもやってくる。
育った土地も環境も違う人達が龍馬を知って同じ思いを抱いて帰っていく。
思いをつなげる龍馬はすごいと日々実感する。
他人と他人が分かり合うことは簡単なことではないし、時間もかかる。
けれど、何か一つでも同じ思いを持っていれば、分かり合えるのだと、たった1時間前までは全く知らなかった人達と龍馬を語って、そう思う。
龍馬は人と人とのつながりを大事にしていたが、ここで働く中で、そのことの大切さを身を持って学んでいる。
龍馬記念館で働く者として、もっともっと龍馬の魅力を伝えられるよう、思いと思いをつなげられるよう、日々頑張っていきたい。
「 ― 拝啓龍馬殿 ―
一介の、何の身分も力もない“普通”の男であった龍馬さんがこの日本を“センタク”したと
いうことは同じ“普通”の男である僕に“ヤル気”と“勇気”をものすごく与えてくれました。
何かにめげそうになった時には龍馬さんのことを想い起こし、
失敗を恐れずに、常に前向きに頑張っていきたいと思います。
これからも龍馬さんの事をずっと尊敬させていただきます。
また高知の方に寄らせていただきます。
H11,11,1 大阪 Y・N
高知県立坂本龍馬記念館編集
『ほいたら待ちゆうき 龍馬』より 」
どうして龍馬はこんなに人気があるのか―――
手紙などを見るとよく分かるが、坂本龍馬という人物は
とても人間味があり身近に感じられる人であると同時に、
今では考えられない、ひとつの国を動かすほどの活躍をした人でもある。
身近に感じられるから大好きになるし、
憧れの存在としてその背中を追い続けることもできる。
たとえ途中でくじけそうになったとしても、
幾多の困難を乗り越えて、なおも夢を追い続けた龍馬の行動力を思ってまた励まされる。
“親しみやすさ”と“憧れ”の両方を持ち合わせた人物はそうはいない。
それが龍馬の魅力。
夢を持つことの大切さを教えてくれた龍馬と一緒に夢の実現に向けてがんばっている人が、
日本に限らず、この世界中にたくさんいる。
そんな人たちにおススメしたいのが、
『ほいたら待ちゆうき 龍馬』
夢の実現に向けてがんばっている人、夢を叶えた人、まだ夢の模索中の人、
みんなそれぞれ形は違うけれど
龍馬に、いや“龍馬の生き様”に励まされてがんばっている人たちのメッセージがつまった一冊です。
龍馬の見た海の「青」と、ニッポンの夜明けの「オレンジ」の表紙が目印です。
ぜひ一度ご覧ください。
ほいたら待ちゆうきね。
いよいよ始まった。
インターネット龍馬検定上級編である。
スタートから1週間に足らぬが、30人がチャレンジしている。
しかし今のところ合格者はいない。
学芸員が練りに練った問題だし、
合格点90点のハードルも厳しい。
“難し過ぎるかも”ふと、そんな思いが胸をよぎった。
ただ、それだけに合格者には、館も大いに敬意を払っている。
坂本龍馬記念館の生涯無料パス、
それに「龍馬SK大使」つまり龍馬の“知識普及員”としての称号を贈ることになっている。
100点だと2泊3日の旅行付き。
館としては思い切った賞品である。
100点続出などの事態は、
うれしさ半分、正直、懐算用に泣きべそだろう。
“難しいかも”と懸念したその翌日その思いは吹き飛んだ。
皆さんじりじり点数を上げてきているのだ。
すでに80点台を記録した人も数人。
第一号上級合格者の姿が視界に入ってきたように思う。
その日は近い。そう感じる。

「この街のために-魅せます、心意気-」
これをテーマに行なわれたイベント「人祭」(じんさい)に龍馬記念館もブース出店してきました。
「人祭」は、今年が第1回目となる、新たに立ち上げられたイベントで
11月8(土)9(日)10(月)と、高知市の中央公園で行なわれました。
高知市の中心街で飲食店を営む方たちのブースでは、ビールやカクテルなどのアルコール類からコロッケ、焼きそば、豚汁、そして高知名物「塩たたき」までが販売され公園中央に設けられたステージの上では、地元バンドによるライブやよさこいパフォーマンス「RYOMA生誕記念クイズ」などが催されました。
小雨の降る中にも関わらず、多くの方がお祭りに参加し、普段から中央公園を通り道にしている方たちもビール片手にブースをのぞいたりと、お祭りは大盛況でした☆
が…、龍馬記念館のブースは足を止める人もまばらで、吹きっさらしのテントの中色々な意味で寒さが身にしみる2日間となりました(T-T)。。。
しかし、この経験から見えてきたことも!
記念館のミュージアムショップに来てくださる方と言えば、龍馬が大好きで、桂浜の龍馬像と記念館を目当てに全国各地からはるばる訪ねてくださる方ばかりなので、龍馬グッズへの反応もとても良いのですが、高知の人にとって龍馬は、“英雄”ではなく、“詳しくは知らんけどちょっとスゴいことをしたおんちゃん”なので、中央公園で龍馬のグッズが売られていても、誰もが、「ふ~ん、龍馬ねぇ~」という顔で通り過ぎてしまうのです。
龍馬にさほど興味のない高知の人々のそうした反応はとても新鮮に感じられました。
以前にとったデータから、龍馬記念館の来館者のうち、高知県内の方は1割にも満たないことが分かっています。
龍馬記念館の今後の課題は、やはり、高知県内からもっとたくさんの方にお越しいただくことなのです。
* * * 高知県のみなさんへ * * *
「坂本龍馬記念館」って知っちゅう?
聞いたことはあるけど、どこにあるか分からん??
龍馬記念館は浦戸城の跡地、桂浜の龍馬の銅像から車で2分の所に建っちゅうで。
みんなも、小さい頃に遠足で桂浜に行ったことあるろぉ。あの近くやき。
ここからの眺めは最高で!
みんなが子どもの頃に遠足で見た海と、龍馬が170年前に見た海と、
今ここから見える海と、なんちゃあ変わらんで。
そんなん見んでも分かっちゅう?
いやいや!まぁえいき、いっぺん見に来て!!
ほいたら待ちゆうきね~。
* * * * * * * * * * * *
一度、ここに足をお運びいただき、龍馬の見た海を眺めてみてください。
そして、龍馬の手紙をちらっとでもいいので読んでみてください。
「あぁ、坂本龍馬って、けっこうスゴいことした人ながやね」
そう思っていただけるはずです。
「まぁ、眺めもいいし、今度県外から友達が来たら連れて来ちゃろぉかな」
と思っていただければ大喜びです☆
もちろん!高知県外の龍馬ファンのみなさんのお越しもお待ちしております。
ほいたら待ちゆうき。
本山白雲作、桂浜の龍馬像原型が、企画展示室に座って一ヶ月になる。
毎朝、「おはよう」と挨拶するのが日課になった。
なぜか「おやすみ」は言ってない。
と言うことは私にとって龍馬像は朝型イメージかもしれない。
仕事前に元気と勇気をもらう。
像の前に立つと、その時々、表情を変えるように感じる。
いかめしい日があれば、穏やかな目線に和んで見える日も。
毅然とりりしくそれでいて優しさがこたえられない。
後ろ姿の肩の辺りに優しさを止まらせている。
そんな龍馬表情をポストカードに作ってみた。
7枚組。一枚は実際の桂浜像。原型の表情は6枚である。
厳選の6枚。
初めての公開記念。1セット500円で限定販売を開始しました。
そう、「龍馬伝」の龍馬役が福山雅治さんに決定です。
原型の龍馬サンも異存なさそうですよ。
夕刻、辺りが少しずつ暗くなり始めた頃。
「今空がすごくきれいなき、カメラ用意して。」と誰か(館長?)の声。
薄暗い海と空を想像しながら、居合わせた職員とともに海側の広場に出て息をのんだ。

空一面に広がる雲は美しすぎる茜色。ほの暗いブルーグレーの空との幻想的なコントラスト。沈みきったはずの太陽の残光が、複雑な形の雲を染め、海原にも淡いピンク色を映して…。
しかしそれもつかの間、ふと気づけば茜の光は消え、群青の空わずかに星の瞬き。
自然の成せる神秘な美しさを皆で共感し、笑顔を交わして心和んだひと時だった。
見つめ合った瞬間、もう目が赤い。
親指と人差し指が目頭にゆく。
口元は震えていた。
「やえきさん!覚えちゅうかね。須崎の!」
「分かる、分かる!すさきの ○○さん!」
男同士、握り合った手がもう抱き合っていた。
館の「海の見える・ぎゃらりい」が今、演歌そこのけ、“涙の再会場”になっている。
ギャラリーでは洋画家、挿絵画家の吉松八重樹さん(82)の油絵と挿絵の展示している。
題して「吉松八重樹と故郷との出会い」展(11月16日)
上野の森美術鑑賞を受賞した大作50号の油絵、川端康成もほめた「雪国」駒子の挿絵。
約100点が並ぶ。
東京在住の吉松さんは地元浦戸の出身である。
ただ、機会に恵まれず、30年ぶりの帰郷となった。
地元の人たち、吉松さん、互いの“会いたい”思いがスパークしたのだ。
次から次へと現れる友人、知人。
見つめあい抱き合う。
取り巻く絵と広がる海が、時代の歯車を逆回転させ、止める。
幸せ気分が館内に満ちてゆく。
「涙を流して体重が軽くなりました」三日目、ベレー帽の吉松さんは言いながらもう涙であった。
窓の外は、季節を急ぐ秋雨が、灰色の海に消えてゆく。
来月11月16日(日)桂浜で「龍馬まつり」が開催される。
少年剣道大会や宝探し、綱引き大会など多彩な行事が予定されている。
地元、浦戸地区の皆さんの企画は、
龍馬を呼ぼう!大漁旗と人のパフォーマンス“おーい龍馬”である。
これが面白い。
面白いが、結構手がかかる。ま、それだけにやりがいもあろうと言うもの。
簡単に言えば、桂浜の砂地に大漁旗を使って『RYOMA』の文字を描く。
ただ、立てたり敷いたりするのではない。
一枚2メートル×2.5メートルの大漁旗の四隅を人間一人ひとりが持つ。
これが“ミソ”である。
リーダーの合図で上げたり下げたり。
一回15分間のパフォーマンスを、午前と午後の2回演出する。
中で「おーーい龍馬」を合唱だ。
机上の計算では、動員800人が目標。
これが難題。地元だけでは当然足りそうにない。
そこで他のイベントに参加している人も、
観光客にも、もちろん大人、子供関係なし。
お手伝いを呼びかけることにしている。
桂浜の波と風。
大声で「おーーーい 龍馬あーーーー」
大合唱。
気分いいと思いませんか。

10月の声を聞いて雨になった。
最初の土、日が雨。
季節はどうも一挙に秋を深める魂胆らしい。
煙る雨をついてその日曜日。
県知事と高知市長を先頭に観光行政に関わるお歴歴が桂浜にやって来た。
しかも浦戸湾を船で渡って、桂浜に上陸である。
実は、再来年のNHK大河ドラマが“龍馬伝”に決まったのはご承知のとおり。
これを県勢浮揚のきっかけにしよう、というのは日本国中同じ事だが、
しかし高知はやはり本家。
本家の中でも本家は銅像の立つ桂浜である。
必勝を期して銅像前の祈願祭となったわけだ。
「雨でも龍馬はやっぱりかっこいい」「世界を見ゆうぜよ」
一同、龍馬像の前に勢ぞろい。宮司さんの祝詞に頭を下げ、思いを込めた。
ふと、龍馬を見上げた。
眼鏡にかかった雨粒のせいか全体にぼやけ気味。
龍馬の頭頂部が少し変に見えた。
ちょんまげが前方にせり出してきた格好。
しかもそれがぴこぴこ動いた。
目を凝らす。13メートルの上空でやっと焦点を合わせた。
鳩ではないか。鳩が止まって下界を見下ろしている。そうだ、鳩は平和の使者。
龍馬のオーラが呼んだに違いない。
全員の玉ぐし奉奠が終わるのを待って、鳩は雨空に消えて行った。
眼鏡の雨粒をハンカチで拭った。
龍馬がまた幸せを運んできてくれるそんな気がした。

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