「幕末土佐の刀剣と鍔展」。
9月はこの企画展の賑わいで館は例年のとは違う9月の賑わいであった。
ともすれば、愛好家だけの世界だったのが、広く若者、女性の域まで広がったように思う。
いつもと違うといえば入館者に地元の方が多かったこともある。
アンケートにはっきりその傾向が現れていた。
「10年ぶりに来たら様変わりしていた。今度は友達を誘って」
そんなメッセージに触れるとうれしくなる。刀剣展ではそんな気持ちにさせられることが、たびたびであった。
暑い熱い夏は、見事に白刃が“暑い”を切り取った感じで、9月が往く。
しかし“熱い”は残って、むしろヒートアップする構えだ。
10月からの企画は「海援隊約規物語」展。
今度のテーマは「家族」。龍馬の坂本家を紹介する。
また、話題性でいえば、桂浜龍馬像の原型が、初公開になる。
龍馬が自分の刀の目釘と下げ緒で作らせ、妻のお龍に送った帯締めも登場する。
見飽きぬ逸品が、幕末の世界、龍馬の世界へ連れて行ってくれるのは間違いないだろう。
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“海の見える・ぎゃらりい”は記念館の二階南端にある。名前の通り、海と展示作品、両方が一度に見られるギャラリーだ。天候の変化に伴い刻一刻とその表情も変わってゆく。作品の背景として見えていた海が、時として前面に躍り出る瞬間があり、すると作品も違って見えてくるから面白い。
9月17日から“第2回現代俳画「秋だから 桂浜」展”が始まった。先の展覧会でも出品頂いた山岸孝子先生主宰“かぶらの会”門下生の作品50点余りが、賑やかに展示されている。俳句と花々・静物・自然などが奔放に描かれ、皆さん思い思いに楽しまれている様子がよくわかる。
毎日ここに立って作品と海を眺めていると“何かをしたくなる”そんな気持にさせてくれる不思議な場所でもある。
龍馬も忙しい日々、短い人生の中で色々なことを嗜んでいた。私もこの秋何かを始めてみようかしら。
図書、テレビコーナーのある館地下1階、事務所入り口の壁面に名札ボードができた。
横3メートル、縦2メートルの立派なものだ。
ブルーの板に漫画の龍馬が得意げな顔つきである。
お龍、西郷隆盛、高杉晋作、近藤勇もいるぞ。
「インターネット龍馬検定合格者」と表記されている。
「上級」「中級」。
「中級」欄に20日現在、掛かった札は22枚。
札には名前とその方の所在地域名が明記してある。
22枚は22人の合格者ということになる。
『三重』『東京』『茨城』『兵庫』『長野』『群馬』『高知』『愛媛』『埼玉』『北海道』『大阪』『静岡』『奈良』。
二人合格の県もある。
初級と違って中級は有料だけに、やはり遊び気分では難しい。
しかし、中級開始2ヶ月足らずで22人の合格は正直、驚いている。
さすがだと思う。
11月にはいよいよ「上級」もスタートだ。
ボード上級欄、現在は合格者として「坂本龍馬」の名札を一枚掛けてある。
龍馬に取って代わるのは?誰だろう?
入館者の皆さんが、龍馬に寄せた手紙「拝啓龍馬殿」を、一冊の本にまとめた。題が「ほいたら待ちゆうき 龍馬」。
書店に並んで一ヶ月余りだが、「題名の意味がわからない」との声を聞きます。聞かれるたびに「土佐弁で、“そしたら待っていますから 龍馬”の意味です」と説明する。すると「何で龍馬が待つわけ?」。質問が追ってくる。そこが“ほいたら…”の狙いとするところなのである。よく聞いてくださったとこちらも唇、湿して熱がこもる。館には人生の節目に来られる方が多い。誰でも悩みはある。しかし相談相手がいない。悩みが深ければ深いほど親にも話せない。そんな時、海の彼方にいる龍馬に悩みを相談する。相談できるのは、龍馬が答えてくれるからである。しかも相談者だけにしか通じない“専用回線”を使って。「勇気もらいました」「決断します」「約束する!」など相談結果を報告して行かれることからも明らかである。龍馬はそう、相談されるのを待っている。相談する気で私は一日1回必ずこの本を開く。一度に1500人の友達ができた気がしている。
現在、龍馬記念館では「幕末土佐の刀剣と鍔」展が開催中だ。
龍馬は刀剣好きだったというが、私自身はどちらかというと刀剣よりも鍔の方に興味を持った。
鍔を間近で見るのは今回が初めてだったが、見ていてあきのこない面白さがある。
細やかで丁寧な装飾が施されており、その中でも興味を惹かれたのは、兎の形をした鍔で、毛の一本一本まで描かれており、思わず見とれてしまう。
派手さはないが、小さな鍔の中に「書」や「水墨画」のような色のない色彩感覚を感じることができる。
これが職人技というものだろうか。
龍馬は新しいもの好きで色々身につけていたが、龍馬に限らず武士はなかなかハイセンスなものを身につけていたように思う。
開催期間中、じっくりと当時の美意識を勉強したい。
学芸員の仕事をしていて、「得をしたなぁ」と感じる瞬間があります。学芸員は展示や調査などの目的で、“お宝”と呼べるような逸品に触れることができるのです。
今、9月1日から始まる『幕末土佐の刀剣と鍔』展の準備で、色々な刀を借りて廻っていますが、刀剣ファンならよだれが出そうな素晴らしい刀を何点かお借りしています。その刀を手に取り眺めていると、本当に役得を感じてしまいます。間近で見る日本刀はとても美しく、魅入られて何本も収集する方の気持ちがよく分かります。
刀の他にも、今年は当たり年なのか、役得を感じることが既に何回もありました。ある所で、幕末史を研究する上で非常に重要な資料が発見され、いち早く見せていただけたのも役得だと思います。
また、個人の方から世界的にも珍しい時計を見せていただいたこともあります。幕末に活躍した志士が拝領した物で、ご子孫の家に伝わっていました。博物館でもめったに展示されることがない種類の時計で、本の中でしか見たことがありませんでした。まさに“お宝”中の“お宝”です。私は時計好きなので、一度は見てみたいと思っていましたが、まさか手にする機会に恵まれるとは思っていませんでした。これこそ役得以外の何ものでもありません。
今年巡り会った貴重な資料の数々は、まだまだ調査が必要な段階ですので、公表はできていません。しかし、いずれ公表されたあかつきには、当館でも展示できるように努力したいと思っています。ご期待ください。まずは、その第一弾として美しい日本刀や鍔を展示しますので、ぜひ足をお運びください。
これを書いていた今日、偶然にもまた一つ興味深い資料と巡り会うことができました。今年は本当に当たり年です。
夜、信号待ちの車窓から景色を見る。
川面にゆらめいて広がる淡い金色の輝き。
見上げれば漆黒の空に雲に包まれ眩い光を放つ真丸な月。
浮かび上がる浦戸大橋のシルエット。
見慣れた昼間の風景とは別世界にも思われた。
昼間多くのお客様で賑わう龍馬記念館。
8月の土日は夜8時までの開館。
夜のとばりが降りたあとの2階展示室。
照明にてらし出される近江屋八畳間。
あの龍馬運命の日へと誘われるような夜の闇と静寂を
ガラス張りの展示室の向こうに感じて…。
昼間とはまた違う何かを感じに
夜の龍馬記念館に足を運んでみられませんか。
館の「海の見える・ぎゃらりい」に新しい出会いの風が吹いている。
「珊瑚とジュエリー“和”のコラボレーション」というタイトルで、谷内信之氏、森謙次氏の2人の作品が加わった。
谷内氏は珊瑚に銀製品を中心としたジュエリーで「和と龍馬」を、森氏は珊瑚の他に鯨歯・猪牙・鹿角・木彫を使用して根付を中心に「ユーモア」をそれぞれ表現している。
作品は30点あまり。ショーケースの中を覗き込むと、細かくリアルな小品が、自由と無限の広さをを感じさせ時間さえ忘れさせる。
また、そばに飾った2人の写真が楽しい。高知市内の武家屋敷で写したという。和服姿の2人が、縁側に座って話をしている。とても晴れやかにいい顔をしている。取り巻く空気がよい。手を広げて2人は何を話しているのだろう?話題を想像していると、きっと龍馬もこのように気の合った仲間同士、“新しい日本造り”を語り合っていたのだろうと、その姿がダブって見えた。
とにかく是非一度、ご覧になってみて下さい。彼らの作品を。
「館長サン、ここのところお客さん多いでしょう!」朝、出勤と同時に清掃のおばちゃんに声をかけられた。
にっこりの挨拶、声が弾んでいる。
「当然、夏休みお盆も近いし」と階段を下りながら私。
「いえ、特に今年はお子さんの姿が多いのでは、そうですよ」
「なんで?何で?また」
「ガラスに小さな手型が多いのです」
おばちゃんが喜んでいた。
言われて展示ケースを蛍光灯の光の下ですかして見ると、なるほど転々と小さい手型が踊っている。
お父さんが、覗き込んでいる展示ケースの中を、背が足らないお子さんがぶら下がった拍子に付いたらしい、読みにくかったのだろうか、擦ったり、じっと手を突いていたものまで色々ある。
その手型をつけた子供らの姿を想像するのも楽しい。
今日も、子供の声が館内にこだましている。
時に、ぐずる幼児の声も混じる。
テレビから「ウオーウオーウオウオーウオ…」
そうアニメ「おーい竜馬」がかかっている。
子供も、大人も一緒になって今日は龍馬の一日。
町は“よさこいまつり”。
龍馬も踊っているかもしれない。

龍馬記念館の入館者が龍馬に寄せた手紙「拝啓龍馬殿」が一冊にまとまった。
一年がかりの労作である。
題して「ほいたら待ちゆうき 龍馬」=その意味は、そしたら待っていますから、龍馬=である。
新本の香りも新しい。
何より、作家1,500人である。
いや、12.,000通の中の1,500通だから、皆さんの代表である。
一通、一通に人生がある。
悲喜こもごも。同じものは無い。
校正途中で何度筆が止まったことか。
ひとりうなずくことも。
胸熱くも。
小説よりもドラマティックで、ドキュメンタリーより真実である。
これほど皆さんに“読んでもらいたい”と願う本は無い。
読後の感想を語り合いたいとも思う。
不思議な一冊だ。
今日も鞄に入れている。

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