龍馬と私

 高知の「さんさんテレビ」(フジ系)の、毎週金曜日夕方のスーパーニュースの中で、「龍馬と私」というコーナーが話題になっている。
 地元局制作の5週連続で、昨日4回目が終わった。
 内容は、龍馬記念館入館者の皆さんの中で、龍馬に手紙を書いたその筆者を取材したものである。10分そこそこのリポートだが、面白い。瞬間ジンときたりもする。それぞれの龍馬への思いが、それぞれの人生で綴られる。
震災、若さゆえの挫折、外国でのチャレンジ、戦争。
年代も、生活エリアも違う皆さんが「家族」のキーワードでしっかり結ばれている。
教えるのは、そう、「龍馬」。「龍馬さん」「龍馬サマ」「リュウマ」

 桂浜の龍馬像ははるか水平線を見やっている。
波の音、夏雲の広がり。蝉の声。
沖ゆく貨物船の船腹に白いラインが揺れる。
風はほんの少しだ。
「龍馬と私は」あと一回。8月1日の金曜日である。

1万件を突破

 館のインターネットを使った「龍馬検定」のアクセスが1万件を突破した。
3ヶ月での達成である。
さすが龍馬さんの実力だと思う。それだけ、広く浸透しているということになろう。
25問、1問1分の制限つき。
これが思ったよりプレッシャーだ。

 現時点で100点を3割ぐらいが占めている。
まだ徐々に増えてきている。
つまり、1度敗れて、なにくそ!もう一回!のチャレンジ組がいるらしい。
実は私も、3回アタックした。
100点「見事ぜよ」キャラクターの龍馬君にほめられて、
パソコンの前で独りニヤついている。

 8月から、中級編の開始。
これは有料である。
よほど自信なくして挑戦できまい。
ただし、それなりに賞品を用意する。
それも12月開始の上級編の前哨戦。
中、上級合格者の氏名は、館内の目に付くところに表示したいと考えている。

喝!

大沢の“親分”は日曜の朝のテレビ番組でスポーツ選手に喝を入れる。
アントニオ猪木は頬をひっぱたいて喝を入れる。
龍馬はもうこの世にはいない人なのに、その存在が多くの人に喝を入れている。
スゴイと思う。

出版社のAさんの話

 出版社のAさんが、このところ、龍馬記念館に日参である。
 日を追うごとに足どりが軽くなってきた。
 口も軽い。
 笑顔も出てきた。
 Aさんには、今回、龍馬記念館の入館者が龍馬に寄せて書いた手紙「拝啓龍馬殿」の製本化を依頼している。これは手紙12,000通から1,500通を選び一冊にまとめたものである。本の題名は土佐弁で「ほいたら待ちゆうき 龍馬」。訳すと、龍馬が「分かった、待っていますよ」という意味。作業に着手してから1年になる。いよいよラストスパートに入った。

 ただ、ここにくるまでに、Aさんとは幾度となく意見が衝突した。
 その苦労がやっと実ろうとしているのだ。
 笑顔のAさんが今や主導権を握った。
「さあ、皆さんがどう反応してくれるか。内容は言うことなしなんだから」
Aさんは龍馬ファンでもある。龍馬とファン、両者は“個人回線”で繋がっている。会話は心のやり取りである。
「龍馬監修の“心の辞書です”」AさんのVサインは肩の上であった。
 本は月末から全国の書店に並ぶ。

「旅」を一言で言い表すのは難しい。観光を目的とした旅、思い出を巡る旅、気持ちをリフレッシュさせるための旅、自分を見つめ直す旅、修行の旅…。旅の表情は色々ある。
龍馬も多くの旅をしている。特に、京都での死を迎えるまでのわずか5年間の間に福井、京都、下関、熊本、長崎…西へ東へ北へ南へ、新しい日本を夢見て命懸けの旅を続けた。
人間以外の生き物も旅をする。しかしそれは生きるための旅。寒い場所から暖かい場所へ、食べ物の少ない場所から豊かな場所へ、子育てをするのに適した場所へ。
彼らは旅をしなければ生きてはゆけない。
だが、人間は旅をせずとも生きてはいける。
でも、旅することで生きる勇気や元気のエネルギーを得る。

これは、私の推測でしかないのだが、太古の昔に生きていた私達の祖先の記憶がそうさせるのではないだろうかと思う。身体の中に刻み込まれたDNAが騒ぎ出すのかも。最近、日米英の国際研究チームが人間の祖先が「ホヤ」よりも、ヒトなど脊椎動物の祖先「ナメクジウオ」に近いと突き止めたという記事を見た。「ナメクジウオ」は実にヒトと遺伝子の6割が共通しているという。
つまり、何億年経った今でも人間も、そして人間以外の生き物、いずれも生き物としての原点は変わらないといえるのではないか。結局、生きるために旅をし続ける“運命”なのかもしれない。
旅する理由は変わろうともである。そう、龍馬は時代を超えてまだ「旅」している。

風になった龍馬

 6月は一年で館が一番静かな時期である。
梅雨の真っただ中。
駐車場に停車している車の下で、野良猫が雨宿り。
時は静かにけだるく流れていく。
 2階フロアに上がってみる。
「近江屋」のセットが妙にシンと鎮まっている。
若い学生風、女性の二人ずれが無言で部屋を見つめていた。
頭の中にそれぞれの龍馬と慎太郎がいるに違いない。
ひとりが、ゴックンとつばを飲み込んだのが分かった。
それを合図に、二人はふわりとその場を離れた。

 気が付いた。
館内に音楽が流れている。
緩やかに、緩やかに、疲れをとかすように。
「出会いの達人・龍馬」展に合わせて2階で開催中の「もう一つの展覧会」展。
歴史資料の中に、現代作家の作品が架かっている。
絵画、書道、俳画そして音楽も。
そう、流れているのは、
シンセサイザー奏者、西村直記さんの「風になった龍馬」だ。
西村さんは、この展覧会に龍馬をイメージして10曲を用意した。
それが、エンドレスで回る。龍馬の世界である。

 さっきの二人づれが、並んで“龍馬の見た海”を眺めていた。
曲は「龍馬フォーエバー」に変わった。

身近なヒーロー

「お久しぶりです。昨年結婚して、今日はヨメさんと一緒に来てみました。…」
「お久しぶりですね…。7年ぶりになりますか…。…」
「龍馬さん、久しぶり!…」
これらはすべて、「拝啓龍馬殿」に寄せられたメッセージの一文。

ときに、“英雄”とまで称される龍馬。
“英雄”と言えば、ナポレオン。
だけどナポレオンに、「ナポレオン、久しぶり!」と語りかけたり、
「結婚しました。」と報告する人はいないのではないだろうか…。

龍馬の最大の魅力、それは“身近に感じられる”というところだ。
そこが、他の“英雄”と呼ばれる人たちと違っている。

土佐の郷士の次男に生まれた龍馬は、特に恵まれた環境にいたわけでもない。
でもほんのちょっとだけ大きな夢を持っていて、
様々な人たちとの出会いの中で、色んな知恵・考え方を吸収して行動した結果、
日本の歴史を動かすことにつながった。

特別ではなく、龍馬より年下の人にとっても、年上の人にとっても、頼れる・憧れのお兄さん、
それが、世界で唯一の“身近なヒーロー”坂本龍馬なのだ。

独り言XⅢ

 今、開催中の「出会いの達人・龍馬」展にアクセントをつけるねらいで、館の2階スペースを使って「もう一つの展覧会」展というのを始めた。展覧会に重ねての展覧会だ。これは以前、館のギャラリーで企画展をお願いしたアーティストの先生方に“出会い“をテーマに新たに作品を制作して頂き、その作品を常設展示空間に置こうという試みである。
 各先生方のメッセージパネルを作るために、制作現場をのぞかせていただき、写真を撮った。書の先生宅では部屋に入るなり、すりだちの墨の香りに足が止まった。精神的にとても落ち着く筋の通った芳香であった。そこから生まれた作品は、非常に勢いよく大胆で、男性的に思えた。次は洋画の先生のアトリエ。油と絵の具の匂いがプーンとして、自由に動く筆のタッチに懐かしさを覚えた。

 作曲をお願いしてあった先生からは“風になった龍馬”というタイトルの楽譜が届いた。ト長調のメロディーだけがModeratoでと記されている。早速ピアノで弾いてみた。生まれたての音符たちから聞こえてくる主旋律は、優しく、柔らかく頬を爽やかに撫でてゆく風のような龍馬だった。

 作家の制作現場を拝見出来るというのは、特別な空間の貴重なエネルギーを感じ取れる、私にとってはわくわくさせられる場所で、かつて舞台装置を制作した時と同じ感情である。そのエネルギーの集結が一枚のパネルになる。龍馬が引き合わせたアーティストの面々、皆さんそれぞれになんとも魅力的なお顔をされていると思うのです。会場でお楽しみください。

出会わせの達人・龍馬

現在「出会いの達人龍馬展」を開催しています。
龍馬はその時々にぴったりの人物と出会い、話を聞き、その考えを取り入れて、
新しい時代を創った男と言われるまでの活躍をすることができた。
これは龍馬の人柄もあるが、生まれ持った才能のような気がする。

そんな龍馬には、人を人に“出会わせる”才能もあるようで、
龍馬と出会って5年、私にも龍馬が縁となってたくさんの出会いがあった。

龍馬記念館をとりまく人達との出会い。
龍馬を尊敬する熱い人達との出会い。
記念館のお客さんとの一期一会の素敵な出会いもあった。

今年の11月、「拝啓龍馬殿」の書籍化の中で連絡を取らせていただいた方に
高知にお集まりいただいて、“同窓会”をおこなうことになった。
日本各地の、年代も性別も違う方達が、“龍馬”が縁で集まる。
みんなで龍馬の話をしながらお酒を飲んで盛り上がっているところに、
ちゃっかり龍馬も加わって、ニコニコしながらお酒を飲んでいる姿が目に浮かぶ。

迷惑なカラスの遊び

 記念館が建っている浦戸城跡には、たくさんのカラスが住み着いている。そのカラスたちが、最近妙な行動をしており、困っている。
 館の屋上や事務室、スロープの屋根などに小石を落とすのだ。仕事をしていると、突然「ガーン」と頭の上で大きな音が響き渡る。最初は何が起こったのか分からず、事務室を飛び出して屋根を見渡した。すると、屋根の上には一羽のカラスがおり、小石をもてあそんでいた。さらにその上の屋上にもう一羽。こいつらが犯人か、と目星はついた。次の日、館の上に落とされた小石を拾い集めてみると、直径3~5cmのものが7・8個あった。館の周りにもそれらしき不自然な小石が落ちているので、一日で10個以上落としていることになる。
 なぜ急にこんな行動を始めたのだろう?来館者の頭や駐車場の車に傷を付ける恐れがあり、大変危なく感じている。最近、館の南にあるカラスの遊び場だった旧ホテルが撤去されつつあり、それに対する抗議行動か、という憶測も生まれた。
 しかし、今日カラスの行動の謎が解けた。警備員のKさんが偶然にも決定的瞬間を目撃したのだ!何とクチバシにくわえていた小石を空中で落とし、それが地面に達するまでにまた自分でキャッチする、という遊びを行っていたらしい。Kさんが目撃した時は、2回までは成功したが、3回目は失敗して落としてしまったらしい。もう少し人に迷惑の掛からない遊びを開発してほしいものだ。木の枝か葉っぱ程度の物に変えてもらえないだろうか。
 この遊び、いつまで続けるつもりだろうか?被害が出る前に止めて欲しい。その内、上達して絶対落とさない程の腕前になるのだろうか?

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