年が明けた。「龍馬伝」の余韻がまだ頭の中を泳いでいる。龍馬の声が聞え、容堂のふらつく手元が見え、怒鳴る後藤象二郎がそこにいる。海の彼方に目線を投げたお龍の寂しげな横顔も鮮明である。
そんな気分を持ち越した新年、"龍馬宛年賀"が届いた。昨年の二倍以上、1300通余り。今年から、護国神社に奉納した後、龍馬記念館に持ち帰り「時の階段・タイムボックス」に保管する。10年間封印して2021年3月24日あけることにした。3月24日は龍馬脱藩の日である。土中に埋めるのではなく施錠した箱に入れる。もちろん、開けて読むのはできないけれど、その状態は見える。少し葉書を読ましてもらった。飛び込んできた言葉は「家族」「平和」「健康」・・まさに現代世相そのもの。
誰もが感じている日本の閉塞感。「10年後に家族そろってこの葉書が読めるように」。特に4、50台のお父さん、お母さんの願いだ。社会、経済、政治、国際間までもふらついている平成の現状に、国民はもううんざりしている。龍馬への年賀から"平和世界"を熱く訴える庶民の心がジンジン伝わってきた。果たして10年後。土佐は日本は世界は、そして自分はどうなっているのだろう。今、吹く桂浜の風だけは変わっていまい。
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図録、パンフレット、チラシこれが館を紹介する三点セットである。
所蔵品の増加、館内設備の変化に伴って必要に応じてチェックし、最新のものにしているが、なかなかタイミングが合わず苦労している。
そんな時「DVDを作りませんか」業者から提案があった、これをチャンスと企画に乗ることになった。
映像だから、立体感が味わえる。パンフレットでは出せない質量感である。「海援隊約規」「龍馬の手紙」「刀剣類」先ごろ入手した「京都藩邸資料」もある。厳選の30点。90分だから内容も厚い。記念館の学芸員も順次登場してここという思い入れの箇所では熱が入る。そしてナレーションが武田鉄矢とくればもう雰囲気は"龍馬"と"幕末"。
これもNHK大河ドラマ「龍馬伝」効果というのだろうか。
記念館では今、改めて龍馬の"実力"をかみしめている。
6月23日、全国発売が決まった。
龍馬記念館のオフィシャルDVD「坂本龍馬」をよろしく。
昨年3月から今年4月まで、入館者の皆さんに投票してもらった「あなたの好きな幕末の人物」を得票順に並べた。因みに1位、坂本龍馬 2位 勝海舟 3位 西郷隆盛 4位 土方歳三 5位 ジョン万次郎 6位高杉晋作 7位 桂小五郎 8位 お龍、同、中岡慎太郎 9位 沖田総司 10位 天璋院となった。得票総数5646票。これで順位は別にして特筆すべきは龍馬の得票数である。実に3717票。一人で過半数を超えている。
地の利、大河ドラマの影響を計算しても龍馬はやっぱりすごい。
さて、高松さんはこの龍馬をどんな筆で表現するやら。「天空」「回天」などの字が見える。お龍は「舞」海舟は「風」慎太郎「源流」番外の弥太郎は「野人」。踊るような筆致が迫力である。面白い。自分の思いと重ねてみるとなお楽しいと思う。展示は4月26日までである。
「さてもさても人間の一世ハがてんの行ぬハ元よりの事・・・・」。
龍馬ファンなら一度は耳にしたことのあるフレーズであろう。文久三年(1863)三月二十日、龍馬が脱藩後初めて姉の乙女に宛てた手紙である。
女優の小林綾子さんが、ゆっくりと龍馬の手紙を朗読する。いや、弟、龍馬からの手紙を、小林さんが乙女姉さんになって読む。乙女姉さんを演じるのだ。ライトに浮んだ乙女姉さんの着物の帯が弾んでいる。待ちに待った弟からの手紙を読む声は弾む心を抑えながら、それでも弾む。
語呂あわせで10月3日が「とさ=土佐の日」となって3年、高知市のホテル三翠園で全国大会が開かれ、そのアトラクションに小林さんとシンセサイザー奏者・作曲家の西村直記さん、それに坂本龍馬記念館の女性スタッフ二人が加わって“龍馬の手紙、朗読・コンサート”が披露された。小林さんは乙女に、西村さんは龍馬をテーマに作曲した曲で背景を固め、館の二人は手紙と手紙の間をつなぐ時代、世相の解説である。三者が絡み合って幕末の龍馬が浮ぶ。
この日は五通の手紙が紹介された。乙女宛の手紙だから私信中の私信。龍馬もまさか150年後、故郷の人前で読まれるとは思ってもいなかったはずである。天国で照れている?いやこの日のコンサートの様子を見ていたらそうでもないかも。
観客は一心に舞台を見つめた。耳をそばだてた。息をのんでいた。その緊張感が背中にびんびん伝わってきた。会の“風”は“幕末”。龍馬の背中が確かに見えた。最後に天国で乙女が言う「・・・・・龍馬そろそろ、また貴方の出番ぞね」。流れる「龍馬フォーエバー」。終了と同時に大きな拍手が起きた。「感動したぜよ」と何人もに声をかけられた。まんざらでない顔の龍馬を想像した。
本番の『「聞こえる・あの声」龍馬の手紙を読む~朗読・コンサート』は11月14日(土)高知県立美術館の美術館ホールで、昼夜2回公演です。

連休開始。館はとたんににぎやかになる。
桂浜全体がわーんと共鳴して、気持まで高ぶってくる。
それに今年は、例年とは少し違う雰囲気がある。
休日の高速道1,000円。
来年のNHK大河ドラマは「龍馬伝」。
これらを追い風とするなら、
世界を駆け巡る豚インフルエンザ情報は逆風に違いない。
2日から5日までは、館は時間延長を実施する。
開館は平常より10分早い午前8時50分。
閉館は午後6時とした。合計で1時間10分の延長だ。
館のホームページも今日から一新である。
そして、職員の制服も衣替え。
デザインごと変えて夏用になった。
初夏の気配濃厚な"龍馬の見た海"には、
ジャコ漁の漁船が数隻。
その横を白い腹の貨物船が航跡を曳いて
水平線に向かって行く。
手元に一部のリーフレットがある。
表紙の題は「龍馬と歩く」。
龍馬・桂浜プロジェクトの作成である。
このプロジェクトには地域の活性を目指す7社(公、民)が参加している。
坂本龍馬記念館もメンバーの一員。
思うところは、それぞれの“特技”を生かして、桂浜を“龍馬の聖地”にしようと燃えていることだ。
先日、リーフレット作りのために、熟慮したモデルルートをバスで試走してみた。
龍馬生誕地を皮切りに、坂本家の墓所、田中良助邸、八畳岩にも立った。
寄り道して、岡田以蔵のお墓。
息切らせながら和霊神社の階段も上った。
解説、ガイドは館の学芸員。
「やっぱり、違う。面白かったし、龍馬がぐんと近くなった」
評判上々の試走となった。
その成果が、このリーフレットに変わった。
龍馬が胸を張っている。
桂浜の海はあくまでも青い。
リーフレットはやがて旅立つ。
風になって日本のあちこちを旅する。
そして、龍馬ファンを連れて桂浜に戻ってくる。
その様子を想像して、独り笑いしてしまった。

先日、女優の小林 綾子さんと、シンセサイザー奏者・作曲家の西村 直記さんが館に来られた。
実は今年、お二人に「龍馬の手紙」を読む朗読・コンサートなるイベントをお願いしてある。
来高はその第1回目の打ち合わせ。
龍馬の手紙は、館の目玉である。
中でも、龍馬が姉の乙女に宛てた手紙は、龍馬の真情にあふれている。
龍馬を人間的に理解するには最も分かりやすい資料と言っていい。
そこで小林さんに「乙女」になってもらって、弟、龍馬から届いた手紙を読んでもらう。
龍馬の心だけでなく、弟を思う姉の心も表現していただく。
資料だけでは窺えない“幕末の世界”が生まれるはずである。
西村さん作曲の龍馬の曲がサイドを固める。
館の学芸員の解説が事態をコメントする。
打ち合わせは2時間あまり。
話は一挙に確信に及んだ。
「やりましょう」小林さんの目が光った。
西村さんは「いい曲、考えます」とはや天井を見上げる。
目はつむっていた。
「あの姉ヤンに書いた手紙が読まれるがか。こそばいけんどまあえいか。たのしみぜよ。」
龍馬の声が聞えた。
本番は11月14日。高知県立美術館ホールだ。
忙しなく喧騒の中に暮れた平成20年。
けじめがなくなった生活サイクルは、
多くの課題を引きずったまま、平成21年へと滑り込んだ。
混沌世相の平成を殺伐幕末に重ね合わせると、
「平成の龍馬よ、出でよ!」巷の声が真剣である。
実際、館も入館者の皆さんから、そんな気配を感じている。
“龍馬を体感したい”
“龍馬をもっと知りたい”
“うわさに聞く龍馬はやっぱりすごい”
皆さんの感動の熱気にたじたじである。
今年予定の企画展は、その熱気に応えるに十分だと自負している。
メイン企画は秋に予定している「風になった龍馬」(仮)。
館の創立20周年(平成23年)に向け、初めての3年連続企画である。
龍馬・勝海舟・ジョン万次郎に焦点を合わせ、
世界と海をベースに彼らの夢見た世界を追う。
夏場は、―龍馬の嫌った戦争・戊辰戦争―を予定している。
戦争のもたらすもの、その意味を考える。
いずれも思うところは「自由と平等」その先にある「平和社会」の実現よりほかにない。
龍馬を常に頭に置きながら、「チャレンジ」「前進」。
それが館の今年の目標。宜しくお願いいたします。
いよいよ始まった。
インターネット龍馬検定上級編である。
スタートから1週間に足らぬが、30人がチャレンジしている。
しかし今のところ合格者はいない。
学芸員が練りに練った問題だし、
合格点90点のハードルも厳しい。
“難し過ぎるかも”ふと、そんな思いが胸をよぎった。
ただ、それだけに合格者には、館も大いに敬意を払っている。
坂本龍馬記念館の生涯無料パス、
それに「龍馬SK大使」つまり龍馬の“知識普及員”としての称号を贈ることになっている。
100点だと2泊3日の旅行付き。
館としては思い切った賞品である。
100点続出などの事態は、
うれしさ半分、正直、懐算用に泣きべそだろう。
“難しいかも”と懸念したその翌日その思いは吹き飛んだ。
皆さんじりじり点数を上げてきているのだ。
すでに80点台を記録した人も数人。
第一号上級合格者の姿が視界に入ってきたように思う。
その日は近い。そう感じる。


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